事前調査で自民、過半数を超える勢い
2月8日投票の衆院選挙の主要メディアの事前調査が出てきた。党派別当選者数予測は示さず、情勢を伝えるだけに抑えている。情報媒体が多岐にわたる現代では、メディア報道の内容が投票行動に影響を与えかねないので、各社とも明確な数字は出していない。
国会運営で節目となる議員数は次のようになる。
| 議員数 | 備考 | |
| 定数 | 465 | |
| 過半数 | 233 | |
| 絶対安定多数 | 261 | 常任委員長独占 |
| 改憲国会発議 | 310 | 憲法改正への発議 |
主要メディアの全国選挙区の情勢解説は、事前調査と各選挙区の取材をもとに個別の候補者ごとに展開しているが、どの候補が優勢になっているか書き込んでいる選挙区が多い。事前調査では、党派別支持率や候補者ごとの支持率も出ているはずだがナマの数字は出さず、それを参考に独自の取材を加味して予測当選数を積み上げている。
各社の論評を読み解いて一覧表を作成してみた。
メディアの一致点予測として整理すると
主要メディアの予想する一致点を筆者なりに整理すると次のようになる。

- 自民党
→ 単独過半数(233)を超える勢い - 自民+維新
→ 絶対安定多数を超えて300議席前後をうかがう - 中道改革連合(立憲民主・公明党)
→ 小選挙区で苦戦、半減の可能性あり - 国民民主
→ 比例で一定の伸び - 少数政党・無所属
→ 影響は限定的
各社とも抑えた書き方をしており、歯がゆい表記と思った読者もいるかもしれない。しかし行間ににじみ出る「書きぶり」を読み込むと、どの候補の支持率が優位になっているかよくわかる。
自民・維新がかなり優位になっているようだが、フタを開けてみないと分からないのが選挙である。300議席を超えるとの事前予想が強く出ると、投票直前まで態度を決めていない無党派層が、アンチ与党に傾くと一挙に与野党接戦になることもある。
事前予想が強く出ると投票行動が抑制されることがある。この選挙では、自民与党が勝つことは相当な確率で予測できるが、あとは勝ち方になるだろう。
1970年代の選挙予想と違う
前回の一代記(第18話)で、筆者は1970年代の選挙の事前調査の統計的な処理と開票日当日の当落予想について書いた。しかしあの当時の事前調査と今の調査実態は変わってきている。どう変わったのか、筆者なりに整理してみた。
| 1970年代 | 現在 | |
| 調査方法 | 面接 | 電話+インターネット |
| 公表形式 | 勢い・情勢表現 | 数字の領域で表記 |
| 新聞社 | 数字を抑制 | 絶対多数など節目数字を強調 |
| 社会的影響 | 参考情報 | 投票行動に影響 |
70年代の事前調査方法は面接だった。一部電話もあったかもしれないが、記憶にない。新聞社の予想報道でも、各党の情勢を客観的に表現することが多く、よく言われたことは「自民順調 社会伸び悩み」と言う言葉だった。
読者への社会的影響も予想情報として受け止められており、文字通りの参考情報程度だった。
事前予想が無党派層を動かす?
今の事前予想は、面接はなくなり電話とインターネットになった。筆者も一度、NHKの世論調査の電話をもらったことがあり、現在の調査実態を知って参考になったが、おそらくこの体験は宝くじで当たるよりも難しいだろう。
今の調査と社会とのかかわりを見ると、調査結果が選挙結果に大きな影響を与えかねないと言われている。
無党派層は、沈黙層ではない。投票日直前に動く巨大な集団と考えた方がいい。事前調査報道の見出しや図表を見て態度を変える人もいる。調査報道は中立を範としているから、書きぶりはどうしても歯切れが悪くなる。
70年代の事前調査報道は、結果を予想する資料として読まれていたが、今の事前調査報道は、結果を作りかねない存在になってきたのである。
このように時代とともに変革してきた選挙の事前予想報道と選挙結果の評価だが、間もなく答えが出てくる。選挙の事前調査が実際の結果とどう違うのか。筆者の関心の重点はそこにもある。


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